空き家の定義
実は「空き家」には明確な定義が設けられています。
2014年11月27日に交付・翌年2月26施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法」によると、1年以上誰も住んでいない、もしくは使用されていない家を「空き家」と定義付けています。
判断基準の例を挙げると、人の出入りの有無・電気やガス・水道といったライフラインの使用状況や、それら設備が使用可能な状態かどうか。さらには物件の登記記録や所有者の住民票上の内容、物件の管理状態、所有者の利用実績といったポイントがあります。
空き家の活用事例
そのまま(修繕して)貸す
一番簡単なのがこの方法です。既存の物件の状態を大きくいじることなく賃貸します。コストは大きくかからず最小限の手間ですむため手軽です。
ただし、既存の物件に対してプラスαの価値がないため、収益性という面では他の手段より劣りがちです。
リノベーション(転用)して貸す
最小限の修繕程度では貸せないほどに老朽化した建築物などは、リノベーションや建て替えの検討がおすすめです。
物件の価値を大幅にアップさせて貸し出せるため、家賃を高水準に設定できます。
解体して土地を活用する
古くなった建築物を解体し、更地にしてから活用する方法です。
解体後はコインパーキングや月極駐車場など、幅広い選択肢があります。
売却する
売却をすると、空き家を管理する手間がなくなるという大きなメリットがあります。また、売却によってまとまった収入を得られることも特徴です。
しかし、立地条件や建築物の状態によっては売却が難しく、売りたいのに買い手が見つからないという可能性もあります。
空き家対策特別措置法とは
空き家を放置することで生じるのが、防災や衛生上の観点から起こりうる問題です。たとえば外壁が落ちて通行人に危険が及んだり、ゴミの放置による悪臭問題といった弊害が社会問題となりつつあります。
そんな現状を懸念した行政は、ついに対策にのりだしました。
「空き家対策特別措置法」を施工し、行政は空き家を調査、「特定空家」を指定します。特定空家には早急な対策が求められ、行政から指導・勧告を受ける対象となっています。
対象となる空家(特定空家)とは?
以下のような基準に該当する空家は、行政が指導や勧告をする対象になります。この対象となる空家が特定空家と呼ばれます。
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保安上危険となるおそれのある状態
建築物に傾斜や損傷があり倒壊するおそれがある。
屋根や外壁が落ちたり飛散したりするおそれがある。 -
衛生上有害となるおそれのある状態
設備の破損・ごみの放置・不法投棄が原因で、臭気やねずみが発生している。
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景観を損なっている状態
景観法や地域で定められた景観保全に著しく合っていない。
木が生い茂り、建築物が見えない。 -
周辺の生活環境の保全が保たれない状態
道路に木の枝がはみ出し、通行の邪魔になる。
不特定の者が簡単に侵入できる。
行政による措置とは?
「特定空家」に該当するかの判断は、市町村の調査に基づいて措置が決まります。措置のレベルは次の順で厳しくなります。
助言または指導 → 勧告 → 命令 → 代執行(費用徴収)
たとえば、「屋根を直しましょう」と行政から「指導」があるとします。
ここで改善を行わないと、同じ内容の「勧告」が通知で届きます。
それでも勧告を無視していると「命令」の通知が届きます。
さらに命令を無視した場合は、いよいよ「代執行」、つまり行政が屋根を修理し、本来の義務者から必要な費用を徴収するという流れです。
なお、勧告の段階で、固定資産税の住宅用地の特例から除外されますが、勧告または命令に係る措置に従い実行したと認められれば、特例対象に戻ることが可能です。
行政による措置の実施状況
空家への対策計画や対策を行う協議会の設置が、まだ全体の1割ほどしか進んでいないそうですので、これが進むにつれてこの件数は今後増加していくでしょう。